大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】





お風呂をあがった後は、いつもよりはやく布団にはいった。

しばらく、毛布にもぐりこんで、じっと今日のことを考える。





と。




「虹ーー起きてる?」




部屋のドア越しにお母さんの声がして、むくりと布団から顔を出す。

夜は基本的に自由気ままにみんな思い思いの生活をしている家族だから、こういう風に部屋にいるときにお母さんが呼んでくるなんて珍しいことで。



「起きてるよ、どうしたの?」


布団にはいったままドアの向こうのお母さんに返事をする。


そうしたら。





「――今、千尋くんがきてるんだけど、」



思いがけないお母さんの言葉に、驚いて、身体を起こしてしまった。

だけど、すぐに、身体をゆっくりと倒す。


私は、今日は、もう、自分に嬉しいっていう感情を一ミリももたせたくないの。




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