大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
“俺、百瀬と付き合うことになった”
いつ、そう言われるのか分からない。
そう言われたら、千歳くん、なんて言葉はもう意味がない。
お姫様と王子様、そういう二人に嘘だらけの祝福をするんだろう。
たぶん、そのとき私が泣いても、もう千尋はそばにはいてくれない。
そっとベッドからおりて、机の上の本を手に取る。
『虹ちゃん、』
頁をめくってたどりついた先に、虹色ハートがある。
それに人差し指で触れたら、こころが切なく震えた。
優しさより、欲しいものがある。
ずっと、それだけが、ほしい。