大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】




いつの間にか私たちは住宅街にはいっていて、二人の家も見えてきた。
向かい合わせにたっている私の家と千尋の家。
細い道が真ん中にあるだけだから、隣同士とそう変らない。




「千尋、今日バイトないの?」

「ない。…勉強教えるの、虹の部屋でいい?」

「うん、ありがと、千尋」

「うん」



テスト勉強をするのも、一緒に漫画を読んだりジグゾーパズルをしたりするのも、ほとんどぜんぶ。千尋と私で何かをするってなると、私の部屋ですることが多い。


千尋は自分の部屋にあんまり私をいれたがらない気がする。

千歳くんの部屋は思い出せるけれど、千尋の部屋は全然思い出せない。それくらい、千尋の部屋にはいってないってことだ。


千歳くんと別れて、朝比奈家に入ることも、ほとんどなくなった。
たぶん、次に入るときは、懐かしい、って思っちゃうと思う。





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