大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「―虹、百瀬のこと苦手?」
千尋の言葉に、身体が小さくはねてしまう。
それは、肯定と同じだった。
だけど、やっぱり自分の意思で頷きたくなくて、ふるふると首を横に振る。
苦手、なんて可愛い感情じゃない。
ただの嫉妬。それだけだ。
私の嘘つきな否定に、千尋は、そっか、と言っただけだった。
嫌い?じゃなくて、苦手?って聞くのもぜんぶぜんぶ千尋の優しさって分かってる。
優しい千尋の前で、私はいつでも優しさの欠片もない。
「……千尋は?」
「ん?」