大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】





放課後の下駄箱に二人きり。

背の高い水嶋くんを見上げると、玄関からさしこんだ夕焼けの光と彼が少しだけ交わっている。
それが、とても不似合いだって思った。


水嶋くんは、ふわあ、とゆるい欠伸を一度して、うん、とゆっくり頷いた。




「“どうしたの”って、どうしたんだと思う?枢木ちゃんは」

「分からないから聞いてるんだよ」

「じゃークイズね。イチ、枢木ちゃんに告白するために待ってた、ニ、枢木ちゃんのことなんて本当は待ってなかった、サン、枢木ちゃんと放課後デートしたいなーと思って待ってた」



ご丁寧に選択肢を示す指までつけて私にみせた水嶋くん。馬鹿にするような口調に少しだけむっとしながら何も答えずにいたら、彼はもう十分近い距離にいるのに、さらに一歩私に近づいてくる。


それから、ゆるく口元に笑みを浮かべて、サン、を示していた人差指と中指と薬指、細くて長い三本の指で私の髪の毛を唐突に梳いた。


予期しない水嶋くんの行動に、たじろいで、水嶋くんが近づいてきた一歩分、後ずさりする。

そうしたら、彼は、くすり、と意地の悪い表情で、口を開いた。





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