大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】











「なんか似合わないね、水嶋くんとゲームセンターって」




変える道とは逆方向。

水嶋くんの隣を歩いて、たどり着いたのは、駅前の小さなゲームセンターだった。

感じ悪い水嶋くんだけど、彼の感じ悪さが喋らないとか無愛想とかそういうものからくるものではないから、他愛もない話は結構面白くて、歩く道で気まずい沈黙が流れることはなかった。




「俺ゲームセンター好きだよ、ふつーに。中学の時とかよく行ってたー」

「私は最近あんまり行ったことないかも」

「あー、朝比奈、こういうとこあんま好きじゃなさそーだしね」

「…小学校の時は千尋もよく行ってたよ」

「へー、意外」




水嶋くんは眠たげな印象が強かったから、ゲームセンターのようなガヤガヤしたところはてっきりあまり好きじゃないと思ってたけれど、どうやら違ったみたいだ。


好きなもの、鮭おにぎり、というか、鮭の入っている食べ物全般。それから、ゲームセンター。

ますます彼のことが分からなくなってくる。





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