大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】





「……冗談?」

「枢木ちゃんさ、さすがに冗談でこんなことは言わないよね」

「…だね、でも、ちょっと…整理つかない、かな」

「中1の春から高1の春まで3年間付き合ってたー、だからそっからだよー遊んでたのも」




だから、か。

はじめて水嶋くんと一緒にご飯を食べた屋上の前の階段での昼休みを思い出す。


水嶋くんが百瀬さんのこと詳しかったのは、単なるクラスメイトだったからではないんだ。付き合っていたからだ。


二人で並んでる姿を頭の中で想像すると、水嶋くんの印象が眠たげでゆるいせいで、お姫様と王子様って感じではないけど、美男美女でお似合いであることは確かだ。





「…なんで別れちゃったの?」



踏み込みすぎって分かってる。

でも、嫌いになるという感情がどういう理由からきているのか、ここまで聞いてしまうと気になってくるのも無理はないと思う。


上目で、水嶋くんにうかがったら、彼は口元にきれいな弧をえがいたから、あ、と思った。




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