大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「それは言わない、誰にも」
「嫌いになった理由も?」
「うん、言わないよー、……さー、枢木ちゃん、そろそろ帰ろっか」
明らかな線引き。
踏み込むな、とゆるい表情が言っている。
だから、私もこれ以上は踏み込まなかった。
うん、と頷いてカーフィーをもって席を立つ。
水嶋くんが、す、と伝票をとってレジに向かった。
私もその後ろをついていく。
お会計をしてくれた店員さんはさっきの女の子ではなかったから、なんとなくほっとする。
さっきの子の友達も、その他大勢の女の子も、たぶん、百瀬さん以外の人たちはゆるい表情の彼しか見たことがないのだろう。
百瀬さんにだけは、素の自分を水嶋くんは見せていたんじゃないかな、なんてそんな気がするんだ。