大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】





そんなことを考えて、レジでぼーっとしていたら、いつの間にか水嶋くんが私の分もお金を払ってくれていた。

ありがとうございましたー、と営業スマイルの店員さんに見送られて出ようとしている中、慌ててお財布をだしたけれど、ひらひらと手を振って断られる。




「さっき俺が言ったことはだれにも言ってほしくないから、口止め料だと思ってー」



なんて。


秘密を話したのはお互い様なのに、払わせる気がなさそうな水嶋君には、もう頷くしかなかった。

クレーンゲームでとってくれたカーフィーといい、おごってくれたパンナコッタといい、ありがたいけれど、私は水嶋くんに何も返せていない気がして、少し申し訳ない。





鮭がすき。


クレーンゲームが好き。
女遊びはやっぱり激しい時は激しい。


―――百瀬さんが大好きだったけれど、今は大嫌い。




今日新しく追加された水嶋くんの情報は、ますます彼のとらえどころをなくしているような気がした。








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