大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
ファミレスをでると、もう外は夜だった。
しばらく歩いて駅の方まで行く。
仕事帰りのスーツを着た人たちや,部活帰りの高校生がたくさんいて、放課後のこの時間に駅前にくることがほとんどない私としては、その光景はけっこう珍しかった。
知らぬ間に、きょろきょろと周りを見渡していた私の肩を水嶋くんは、とん、と叩く。
見上げたら、ゆるく笑われた。
それから、「送るー、枢木ちゃんに拒否権はないよー」、といっぺんに言われたものだから、素直に「ありがと、」ってお礼をいって送ってもらうことにする。
駅からはずれたところの暗い道は怖いし、正直水嶋くんがそう言ってくれてありがたかった。