大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
⒐未完成なヤキモチに弱い
◇
次の日の朝、まだ重い瞼をしょぼつかせながら玄関の扉を開くと、ひゅう、とお日様の匂いが混じった風に吹かれる。
まだ完全にはまわっていない思考回路のなか、顔を上げる。
と。
「えっ……」
家の前に、思わぬ人物がいて、一気に目が覚めた。
朝は絶対に会うことのない人の姿。
―――千尋。
それに驚いて、扉を中途半端にあけた状態でフリーズしてしまう。