大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
だめ、なんて、千尋が言うことじゃない。千尋が、決めることじゃないのに。
だって、いくら私が水嶋くんと付き合う気なんてさらさらないとしても、これは、私と水嶋くんの問題だ。
千尋は、私からまた目をそらして、はーっ、と溜息を吐き出す。
「一緒に帰れなかった俺も悪いけど、お前さ、家の前で水嶋に何されてんの」
「え、」
「同意のもと?それなら、なおさらだめなんだけど」
……昨日の夜、家の前で水嶋くんといるところを、千尋に見られていたんだ。
いたなら声かけてくれればよかったのに。
なんて、そんなお気楽なことは今思うことができなくて。
別に昨日は水嶋くんに何かされたわけでもない。
そもそも、なんでそこまで水嶋くんをだめだって千尋が言うのか、前に言われたときから正直分からない。
千尋のトーンは冷ややかで、まるで私は責められているみたいだ。