大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「虹みたいなやつは、水嶋に泣かされて終わりだよ」
“虹みたいなやつ”なんて、あまりにもひどい言いように、さすがに、かっと頭に血がのぼった。
千尋の整った顔が、少しだけゆがんでいて、いつもと違って優しさのかけらもないくせに、わたしの隣から離れようとしない。
伏せられた目と長くて色素の薄い睫毛。
意味分からない。
本当に。
何が言いたいの?
同じ気持ちじゃないくせに。
気持ちも受け取ってくれないくせに。
なんて、一瞬だけわたしのなかで弾けたその気持ちが、知らぬ間に言葉を千尋にぶつけていた。