大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「――千尋には関係ないよ」
立ち止まる。
通りすがりの人が、私たちをちらっとみて、そのまま歩いて行く。
千尋も、足を止めた。
それから、ずっと合わなかった目がようやく合う。
千尋は、もう不機嫌な顔をかくそうとはしなかった。
周りの人がちらちらと私たちのほうを見ているのが分かる。
そりゃそうだ。朝っぱらから、道ばたで立ち止まって、千尋も、きっと私もむっとした顔をしている。
きれいな顔をきれいなままゆがめている千尋に、私はぎゅっと唇をかんだら、そっと千尋が低い声で言葉をおとした。
「関係なら、あるよ」