大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】





…ないよ。

幼なじみな千尋には関係ないはずだ。




それなのに、そんなことを言われると期待する。したくないのに。

お願い、期待しないで、私。





「…千尋だって、自分のことは私には関係ないって言ってたじゃん」

「俺のことは、虹には関係ないけど、虹のことは俺に関係ある」

「…何それ。ほんと、意味分かんない、千尋」





言ってることがめちゃくちゃだ。


自分がおかしいことを言ってるって千尋は気づいていないんだろうか。


思いっきり眉間に皺をよせている千尋は、久しぶりに見る。

たぶん、他の女の子たちは見たことがないんじゃないかな。
甘い顔の彼からは到底想像ができない不機嫌な有様に、取り繕った、なめたような甘い笑顔を向けられるのと同じくらい、こんな顔をされても困るしどう思えばいいか分からず怒りの感情しか向けられない。




修羅場?なんて、どこからかそう言う声も聞こえてきて。
住宅路を抜けて、学校もわりと近づいてきているところで、こんな風に険悪になっているからだろう。




修羅場じゃない。
修羅場の方がまだマシだって思った。

恋のもつれ、じゃないんだ、これは。


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