大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
私はお母さんの手をぎゅっと握ったまま、ふたりに目を向ける。
そうしたら、二人のうちの背の高いほうの男の子が、ふわり、と柔らかい笑顔を私に向けてくれて。
私の前に立ったかと思ったら、少しだけかがんで口を開いた。
「初めまして、朝比奈 千歳です。よろしく」
透き通った声だった。
笑った時にできるえくぼも爽やかで、王子様みたいだ、ってその時初めて対面した9歳の千歳くんに対して6歳ながらに私は思ったんだと思う。
「.......くるるぎ、にじです。よ、よろしくね、」
「虹ちゃんって言うんだ、いい名前だね」
「.......ありがとう、えっと、千歳くん」
私と千歳くんが話すのを、お母さんたちは微笑ましく見ていた。