大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「他の女にいくようなやつとか遊んでるやつはだめ。水嶋以外にもだめなやついる。一個上の三島先輩とか、C組の野中とか柊也とか、あとお前と同じクラスの崎もだめだし、俺と同じクラスの立花もだめ。あと、」
「ちょっと待って、千尋。崎くん以外は喋ったことないし、そんなに人の名前挙げられても分からないから。……それに、これからもたぶん好きにならないよ、みんな」
「なに、たぶん、って。絶対、だから」
「………、」
「虹に、面と向かって言うのはちょっと癪だけど、千歳くんのときみたいに傷ついてほしくない。俺ね、虹が傷つくのが、ほんと、やだ」
なに、それ。
狡い、
って、もしかしたら、千尋のために用意された言葉なのかもしれない。なんて、そんなわけはないけれど思ったよ、今。
心配、している。
それが十分伝わってくる。
朝みたいな千尋ではなくて,冷静で穏やかんで優しい表情をしているから、なおさら。
かっこいい、ってパラソルを通り過ぎる瞬間に女子高生が千尋を見て言った声にも、千尋は全く反応しない。
今日は、私以外に、本当に目もくれない。