大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】





「つーか、虹のタイプって何なの、千歳くん以外だったら」

「タイプ?…千尋は?」

「あのさ、虹。前も言ったけど、俺のことはどーでもいいんだって。虹のタイプ」




不公平。

どうでもよくないから私だって聞いているのに。


だけど、たぶんしつこく聞いたって千尋は自分のことは言わないんだろう。


諦めて、クレープを口に含んだら、案の定多すぎたチョコレートソースが下からもれて紙に滲んだ。
だから、生地だけ食べきってもれたソースは諦めて包み紙を捨てる。






「……タイプかぁ」

「うん」




頭に浮かぶのは、どう頑張って振り切っても目の前の人で、そんな純真無垢な瞳を向けられても困る。

でも、だから、困らせたいって思った。

捨ててしまったチョコレートソースに未練が残っていて、きっとそういうものから派生したばかで身の程知らずな欲張り心。





唇のはしのチョコとクリームを舌でぺろりとなめとって、その甘さに手を引かれるように、目の前の千尋をじっと見つめる。



「……黒髪で、私より背が高くて、顔がかっこいい人」

「真面目に答えて、虹」





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