大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】






「朝比奈に言われたからー?」

「違う、けど」



肯定してもいいことなんてないと思ったから、嘘をついて否定したけれど、きっと水嶋くんにはばれているだろう。

水嶋くんは、一度ポケットにいれた手をだして、レジ袋を指にかけて握る。

とろんとした瞳が、全部見透かしているようにわずかに細くなった。




「枢木ちゃんが俺とお昼ごはん食べようがどうしようが、今日も朝比奈は百瀬とお昼一緒だよ」

「……うん、」

「朝比奈の言うこと聞けば、朝比奈が振り向いてくれるとか思ってんだ、」

「ちがっ、……違うよ、そういうことじゃない」





そんなに簡単なことじゃない。

かといって複雑なことでもないけれど。



千尋に振り向いてほしいから、なんてそんな機嫌をとるみたいに、今断っているわけではない。



水嶋くんがとってくれたカーフィーは部屋に飾ってあるし、これからも学校で目が合ったら水嶋くんとは話すだろうけど、これからは、もう、二人にはならないでおこうってただそういうことを思っているだけだ。





美優が、私を心配してか、水嶋くんと向き合っている私の後ろにそっと立つ。




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