大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「水嶋くん、ごめんね、」
「別に、告ったわけでもないけどね」
「うん、でも、」
「ねー、美優ちゃんだっけ?この人、ほんとさー、どう思う?」
真剣に謝っていたのに、やっぱりどこまでもゆるい水嶋くんはいきなり私の後ろにいる美優に話を振る。
思わず美優を振り返ったら、美優もまさか自分に水嶋くんが話しかけてくるとは思わなかったのか目を丸くさせていて。
だけど、すぐにいつもの調子に戻って、小さく苦笑いを返した。
「馬鹿だなー、って思う」
「なっ、美優!?」
「ね、馬鹿だよね。絶対俺の方がいいよねー」
「はは、うん。でもこの虹ちゃんは馬鹿だから仕方ないよ」
私をおいて、目の前で繰り広げられる悪口にあっけにとられていたけれど、だんだんと腹が立ってきて、美優と水嶋くんを交互に睨んだら、二人は同じタイミングで可笑しそうに顔をくずした。