大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「てかさー、私も思うよ」
「え?」
「おたくのイケメンに対して、何様?って」
脇腹に手をあてて、むっとした表情をつくる美優に、私は中途半端な苦笑いをこぼしてしまう。
美優は、本当に千尋のことが好きじゃないみたいだ。
それは少し複雑だけど、私のことを考えての結論だって分かってるから、何も言えない。
「実はさ、虹に言ってなかったけど、このまえ、昼休みに教室きたんだよね、朝比奈くん」
「えっ、いつ?」
「虹が水嶋くんとごはん食べてたとき、2回目だったかな?」
「……そ、なんだ」
一切知らなかった事実に驚きつつ、記憶をさかのぼればピンとくる。
たぶん美優が言ってるのは、水嶋くんと屋上でお昼を食べるのが二度目の昼休みのことだと思う。
百瀬さんと千尋が一緒にいるのを購買で見かけた日。
でも、だからこそ、どうしてって思う。
百瀬さんと一緒にいたのに、どうしてって。
なんで美優はすぐに言ってくれなかったの、ってそういう気持ちもぽつ、と自分の中に生まれてしまう。
そうやっていろいろな気持ちが混じり合ったまま、美優に対して首をかしげたら、美優はちょっと気まずそうに、ごめんね、と身体をくっつけてきた。