大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「……美優はなんて答えたの?」
「水嶋くんと一緒にいると思うって言ったよ。そういうしかなかったし」
「そう、なんだ」
「そしたら、あの顔だけイケメンいきなりすごい胡散臭い笑顔作って、“山中さんさー、虹のことちゃんと見ててくんないかな”って言ったんだよ。で、言い返そうと思ったのにそんな隙もなく、秒で去ってったわ」
「………、」
「あんたが虹のこと苦しませてるんでしょーがって感じじゃん?それなのに、なんか私が責められてるみたいに言われて、腹立ったんだよね。そのとき私も思ったよ、何様?って。で、むかついた勢いで記憶から抹消しようとして、虹に伝え忘れちゃった。ごめんね」
ぺろっと舌をだすような軽さで謝られてあっけにとられる。それから、「さ、ごはんにしよー」と私を取り残して,美優が教室を出て行ってしまったから、すぐに追いかけた。
どうやら、千尋は相当水嶋くんのことを気にしていたみたいだ。
それをまた思い知る。
こうやって千尋以外の人からその片鱗をもらうとなおさらだ。