大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
千尋。
私が今日、どれだけ楽しみにしていたか分かってる?
千尋のことを考えて、お気に入りのワンピースを選んで、昨日の夜ちょっとだけポニーテールの練習をして、それで、今日のことを考えながら眠って。
どれだけがんばって、手を繋いでいいかって聞いたと思う?
嬉しかった。いいよって言ってくれたこと。少しだけ、ほんの少しだけ、私の恋が届いたのかもしれないって思ったんだよ。
はじめて知った千尋のくだらない情報に、どれだけ満たされたと思ってるの。
キリンが苦手なこと知ってくれたことにこっそり嬉しくなったのも、動物園を出た瞬間離れていった手に寂しくなったのも、そういうのが、どういうことなのか、なんで分かってくれないの。
期待の振り幅。
振り子がプラスの最大値点から放たれる。
戻ってくる。
防げない。
待ってるのは、今まででいちばんの最低値。
それは、虚しさの絶望だった。