大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
――『結局は関係ないからね。俺も百瀬も』
水嶋くん。
本当に、その通りだ。
誰も関係ない。
本当は、千歳くんだって関係ない。
千尋と私の問題なんだ。
千尋の優しさの糸は、まったくもって赤色じゃない。
なんで伝わらないのか、分かったよ。
千尋が、受け取る気がひとつもないからだ。
ぜんぶ私が悪いわけではなかった。
こころは凍りかけだ。
冷たくて、そこにまた優しさなんて馬鹿げた鋭い棘が刺さって、われていく。
優しくされるたびに壊れていくものがあるんだって、千尋はいつになっても知らないんだね。
「……虹?」
もう、限界だった。
心配そうな声音で名前を呼んで、そっとうつむいた私の顔を千尋がのぞきこんでくる。
瞳をあわせたら、何かが心の中でプツリ、と音をたてて切れたのが分かった。
それで。