大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
確かに、叶わないまま思い続けるのは、嫌だ。
キラキラしていない。雨ばっかりだ。
だけど、雨上がりを待ってしまう。
その先に虹が架かるかは分からないのに。
諦めることもできないのは、ちゃんと振られることができないからだ。
好きを受け取ってもらえさえすれば、叶えることも叶えないこともできるはずだって思う。
また嘘を重ねて同じ関係に戻ることも、このまま距離をとり続けて疎遠になってしまうことも、やり方次第では、たぶんどちらもできる。
でも、もう前者は選び取りたくなかった。
かといって、疎遠になってしまったら失恋も未完成なままで私は永遠にこの気持ちをひきずることになるだろう。
「……止め際が分からない」
「他の男の子、紹介してあげようか?」
「ううん、いい。ありがと」
これは、たぶん、私と千尋だけの問題だ。
百瀬さんも水嶋くんも千歳くんだって関係ないって土曜日の夜に分かってしまった。他の男の子で誤魔化せるようなものではないのだろう。
煮え切らない。
どうすれば止められるのか、いちばん手っ取り早いのは、千尋にちゃんと振られることだと思うけど。
「虹、」
「美優、なに?」
「なるべく、元気になってね」
「……うん。ありがとう」
美優がいて良かったって思ってるよ。
人にあんまり心を開けない私だから、こんなに悩みを打ち明けている同性の友達は美優だけだ。
私をおもって千尋のことを“くそやろう”って言う、その理不尽さにも、本当のところ私はちょっとだけすくわれている。