大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
二人でいる時間が増えて、千尋のことも前よりは嫌じゃなくなった。
だけどやっぱり千歳くんのほうが好きで、千尋と千歳くんが逆だったらいいのに、なんてこっそり思ったりもしていた。
千歳くんとは、彼が中学にはいって疎遠になったかと言われればそうでもなくて、会える時間は減ったけれど、よく私の家に遊びに来てくれたし、私が朝比奈家に遊びに行くこともあって、仲良しのままだった。
そんな中で、一つだけ明確に変化したことがあるとするならば。
いつからか、千歳くんと千尋とわたしの三人で遊ぶことはなくなったってことくらいだと思う。
千歳くんとわたし、あるいは、千尋とわたし。
千歳くんは、私といる時に千尋を呼ばなくなったし、千尋は自分から千歳くんの名前を出すことさえあんまりなかった。
かといって、千歳くんと千尋の仲が悪くなったのかと言われればそうではなく。
二人はたぶん、ふつうの兄弟に比べて、かなり仲良しだった。
千尋は千歳くんを慕っていたし、千歳くんも千尋を可愛がっていたのは、私にも伝わっていて。
だからただ、三人で遊ばなくなった、って、それだけのことだ。