大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】








長い準備期間を経て学祭の一日目から、私たちの高校は大盛り上がりだった。


看板もエプロンも大好評で、放課後に居残りをして頑張って作ったかいがあった。



パンケーキの甘い匂いと、おしゃれな洋楽につつまれた教室は、ふだん授業を受けている場所から、カフェのように生まれ変わっていて、子どもから大人までたくさんの人がきてくれている。

当日はやらなければいけない仕事がないとはいえ、クラスのことだし、美優が午前中はパンケーキを焼く係だから、特にすることもない私はなんとなく手伝ったり、教室の前で勧誘をしたりしていた。






「虹、午前中はありがとー。さ、まわろ」




午後からは美優もフリーで、完全に自由時間だ。

午後から担当のクラスメイトに後はまかせて、教室をでる。



学祭は、いつも厳しい先生も規則にゆるくなるから、みんな思い思いのおしゃれをしたり中にはメイクをしてる女の子たちもいる。

私は美優とおそろいで、ツインテールにして、スカートもいつもよりちょっとだけ短めにした。





告白大会に出ることをきめて、美優にはそのことをすぐに話した。

あまり表だって何かをするタイプでもなく、どちらかというと控えめな私がそんなことを言い出したものだから、最初は、かなり美優は驚いていたけれど。
でも、応援してる、と言って笑ってくれたんだ。


朝比奈君なんて虹に告白される資格もない、なんてことを、私の代わりに怒っていた美優は言い出すと思ったけれど、そうではなく、せっかくならかわいい髪型にしようね、と肯定的に受け止めてくれたから嬉しかった。






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