大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】






そんな時にある事件が起きた。


起こしたのは私だし、事件というほど大それたものではなかったけれど、小学四年生の私にとっては、大きなことだった。




小学四年生の冬のある夕方、パジャマと食べかけのグミだけをもって、朝比奈家の玄関のベルを鳴らした時、扉の向こうから出てきたのは、千歳くんだった。





「.......虹、どうしたの?.......え、なんで泣いてるの?」

「.......っ、ぅ、」

「虹? とりあえず入りなよ」




千歳くんは私が両手に抱えたパジャマとグミを見てちょっとだけ不審そうにしながらも、泣いてる私をすごく心配してくれて。

千歳くんにつれられて朝比奈家のリビングに入ったんだ。




その時、ちょうど千尋と千歳くんのお母さんもお父さんもお買い物にいってるのか家にはいなくて、リビングには千尋と千歳くんだけだった。



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