大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
最低だ。くそやろうだ、本当に。
失わせてもくれないんだ。
そうやって、強引に、自分の思い通りにして。
それで、また前の日々に戻るの?
絶対に嫌だ。もう、戻れない。
失う覚悟を決めたのに、その前の関係になんて戻りたくない。
なんで、好きだって、伝えさせてくれないの?
私は、本当に、どうすればいいの?
どうしたら、分かってくれるの?
手の中でくちゃくちゃになった虹色ハートが、すべりおちて、床におちた。
千尋から目をそらして、それを拾おうとする。
その途端、目の奥が熱くなって、みるみるうちに涙があふれてきた。
泣きたいのにずっと泣けなかった。
そんな過去のぶん全部、今から流れるんじゃないかって、そのくらい身体の奥からわきでてくる。
絶望を涙が満たしていく。
千歳くんに振られた次の日の大泣きのときよりも、苦しくて、息ができない。
ポトポト、と床におちていくしずく。
折れ曲がった虹色のハートをひろうのをやめて、目元をぬぐおうとした、
その刹那。