大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「……タイプ。あれ、ぜんぶ千尋のことだよ」
腕に包まれたまま、千尋を見上げる。
受け取ってもらえないなら、受け取ってもらえるまで言う。
もう、逃がさない、逃がしてはあげない。
絶望で泣いたら、なぜかそういう気持ちになってしまって、いつの間に、自分はこんなに強かになれたんだろう、と思う。
涙でぼやけた視界のなか、未だに困惑したような表情を浮かべだした千尋がいて、それでも、もう絶対に私の気持ちを信じてくれるまでは、目をそらさないって決めた。
「たくさん、誤魔化してきたから。たくさん、嘘ついたから。信じてもらえなくても仕方ないって思ったこともあったけど、やっぱり嫌なの」
「……、」
告白大会は場所が変わっただけだ。エントリーナンバー六番の枢木虹は、空き教室なんてなんとも残念な場所で、思いを伝えることにする。
こんなはずじゃなかったのに、と思いながら、もう、受け取ってくれるまで伝えると決めた今じゃ、清々しささえ生まれてくる。
それから、瞳をしっかりあわせて、口をひらいた。
心がちいさく震えたけれど、身体はもう震えていなかった。
「――千尋、好きなの」
「嘘、」
「本当だよ」
「………」