大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】






「..............っぐすっ、」




ぽつん、と取り残された私。と、千尋。

お母さんへの怒りは収まらないし、行ってしまった千歳くんにも悲しくなってしまって、それらが全部涙に変わってしまう。



どうせ、今から私のお母さんをつれた千歳くんが戻ってきて、説得されて、家に連れ戻されて終わりだ。


一大決心をして家を出たって言うのに、千歳くんにはわかってもらえなかったんだ。



そのことが悔しくて、また涙が溢れてしまう。






千尋は未だに私に背を向けていて、なにか黙々と作業をしていた。


わたしの嗚咽だけが響く朝比奈家のリビングは、なんとも言えない気まずさがあったと思う。


子供ながらに虚しくなって、持ってきたパジャマに顔を埋めて涙を止めようとしばらく奮闘していたら、人が立ち上がる気配が少し離れたところでして。


それから足音がゆっくりと近づいてきて、私の前で止まった。





「.......虹ちゃん、」







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