大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
りんご飴、焼きそば、チョコバナナ、お互いに好きなものをシェアしつつ、屋台の中を進んでいく。
ちらちらと視線を周りから視線を感じている。
それは、間違いなく千尋のルックスのせいだろう。
だけど、付き合う前から、千尋は周りの視線をほとんど気にしない。気にしているのは、私ばかりだ。
それでも、繋いだ手と、私にだけ向けられる千尋の偽りのない笑顔が、大丈夫だ、と思わせてくれる。
過去を振り返ってみれば、付き合ってから大丈夫じゃないことなんてなかったかもしれない。
そりゃ、喧嘩は時々するけれど、
千尋は基本的に私に弱い。
「虹、花火、どこで見たい?」
「……人が少ないとこ」
「じゃあ、一昨年と同じところでいっか」
屋台が途切れた人気のないベンチまで行く。
右手には、食べかけのりんご飴。
左手には、千尋の手。