大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
座って、一息つくと、
千尋がのぞき込むように私を見てきた。
「足、痛くない?」
「足?」
「うん、いっぱい歩いたし。下駄じゃん」
「大丈夫」
「ん。ならいいけど」
千尋は結構心配性だ。大袈裟なときもあるくらいに。
千尋が思っているより私は強かだけど、千尋に心配してもらうことに関して悪い気はしないし、気遣ってくれるのは素直にうれしい。
食べかけのりんご飴を、千尋に近づけて、「食べる?」と首を傾げる。
千尋は頷いて食べさしのところに、歯を立てた。
「甘、」
「りんご飴だから、そりゃそうだよ」
「食べる?」
「うん?」
頼りない灯りのした、千尋の目に悪戯心が少しだけ宿ったのを感じて、嫌な予感を抱きつつ、じっと瞳をあわせたら、不意に下からすくいとるように唇が重なった。