大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「なに? 本気にした?」
千尋が私に意地悪をいうときの顔をつくって、口角を上げた。
目の奥がチカチカして、思わず目を逸らした。
涙がでる、とかそういうものではなかったけれど、冗談言わないで、なんて言って笑うことも怒ることも到底できそうになかった。
そばにいてくれるくせに。
いや、そばにいるから、安易に傷つけられてしまうんだ、私は。
千尋が、ベッドに近づいてくる。
それから、手のひらを私の身体のすぐ横について、わずかに距離をつめてきた。
「俺が彼女つくろうがどうしようが、虹には関係ないよ」
「..............そうだね」
千尋にのぞきこまれる。
何を考えているかなんて何も分からない瞳がわたしを捉える。
揺れているのはきっと、私だけだ。