大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】






「虹は、自分のことだけ考えてればいい」




優しい声だった。


小学四年生のあの日、千歳くんがいなくなったリビングで、虹ちゃん、って呼んでくれたときと同じようで、全然違う優しさをもつその声。



言葉の裏側に、俺のことは考えないで、ってそんな気持ちを含めたような、残酷さがあった。





それが、なんだか、今日は耐えられそうになかった。







「千尋、」

「どーした?」



「.......ごめん、いきなりだけど、今日は、もう帰って。やっぱり、1回仮眠とって、夜テスト勉強したいから」





千尋みたいに上手に言葉の裏側に自分の気持ちを隠すことなんてできないから、今千尋と一緒にいたくない、って私が思ったことは千尋に筒抜けだったと思う。



ベッドについていた手をはなして、千尋が離れていく。



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