大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「..............っ、」
取り残された自分の部屋で、ぎゅうっと唇を噛む。
枕元には本が転がっていて、その中には大切なしおりがはさまってる。
もう一度、取り出そうと思ったけれど、胸が苦しくて、もう日が暮れそうなこの時間ではうまく煌めくこともなさそうだから、やめておいた。
「.......嫌いだ」
口に出したら、呪いみたいに胸が苦しさでいっぱいになっていく。
記憶をなぞる。
感じ悪いって思った。
苦手だった。
好きじゃなかった。
少しだけ、好きになった。
いいやつだって、思って、好きが少しじゃなくなった。
いつからだろう。
ーーー『虹ちゃん、』
好きなものも嫌いなものもぜんぶ覚えてくれている。
可愛い女の子の告白をぜんぶ断って、
それで、私のそばにいてくれる。
どこからくるか分からない優しさを一心に向けて、私の偽物の恋心を守ろうとしてくれる。