大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
無自覚に優しいところがあるから、そういうところに落ちてしまうんだと思う。
もちろん、顔がいいっていうのもあるけれど。
むしろ、それが9割かもしれないけれど。
千尋の問いに答えることなく、涙をすする音だけが聞こえる。
きっと、もう取り繕うこともなく、千尋はうんざりした顔をしているだろう。
「俺、人と待ち合わせしてるから、もう行っていい?」
何の感情もこもらない声に、思わず自分がためいきをついてしまった。