大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】





私たちの住宅街をぬけて、少し歩いたところにある神社にむかう。

けっこう大規模な夏祭りで、終わりには花火もあがる。
私の夏の風物詩といえばこの夏祭りで、幼い頃から毎年きている。

2年前、中学3年生のときだけは、いかなかったけれど。
ううん、いけなかった、っていうほうが正しいかもしれない。



「夏祭り自体、高2ぶりかも、俺」

「私は、去年も行ったよ」

「千尋と?」

「……うん」




去年は、そう。
千尋と行った。



千歳くんが今年の夏は帰ってこないから、って夏祭り当日に私の家に突然やってきて、半ば強引に連れて行かれたといっても過言でない。


千尋がどういう気持ちで私を誘ったのかはっきりは分からないけれど、たぶん、千歳くんがいなくて私が寂しがってるって思ったんだと思う。

中学2年生まで、毎年、夏祭りは千歳くんと二人で行っていたから。
だから、きっと、千尋が私を誘ったのは、『そばにいてあげる』という優しさの延長だ。





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