大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
千歳くんのシャツの裾を引っ張って、なんとなく、ありがとう、といったら、千歳くんは、私につかまれたシャツに目を向けて、意味なんてなにひとつこめられてないようなあっさりとした、どういたしまして、を返してきた。
それから、私の指先からシャツを逃がすように離れて、虹、と名前を呼ぶ。
離れていったシャツを追うことはせず、何、と首をかしげたら、王子様みたいな微笑みを横たえて、ゆっくりとその口が開く。
確かに王子様みたいな微笑みだったのに、それがどこか遠く、私の知らない彼の一部分をつれているような雰囲気に、じっと千歳くんと瞳をあわせる。
それで。