大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「虹は幼なじみだから」
「で、でも、好き、とかは、」
「恋愛対象に入るまでの距離だったらきみのほうが近いんじゃない?」
意地が悪いくせに、声があまりに透き通っているものだから、腹が立つ。
どうして告白してもないのに、私が振られた気分にならないといけないんだろう。
(…………はぁ、千尋はくそやろうだ)
うつむいて、自分の足もとをみる。
私たちは幼なじみだから。
___だからって、本当は、何だって言うの。
夕方は進むのがはやい。
下駄箱の薄暗さが、今の自分の心とかぶって、だから待ち合わせ場所が下駄箱なんていやなんだってまた思った。
二つ目の理由がこれだ。
いつも、私が振られた気分になるからだ。
自分が千尋の恋愛対象じゃないって再確認させられる。
それは分かっていることだけど、
あんまり気分がいいものではないから。
「つーか、本当にもういい?」
「えっ、あ、……うん。じゃあ、私、いくね」
「うん、じゃーね」
「……うん」