とある小説家の恋愛奇譚
ーーーケリックさんが帰り、私は彼を見送った後自室へ戻った。
仙川薫に色々言いたいことがあったがその前に、だ。
書きかけの手紙のある机の引き出しを開け、中からカンカンを取り出す。
中には手紙がぎっしり入っている。
何枚か適当に出して、封筒を開け、手紙の内容に目を走らせる。
ーーーーー彼は……。
私は頭を抱え、はあぁと息を吐き出す。
本棚に並ぶ一冊の彼の本。
やっとわかった。
彼の正体が。