オレンジ色のグラウンド
やりたいことが、ない。


自分と同じ先輩に、私は思わず目を少し大きくする。





「じゃあ……なんでこの大学なんですか」


「はは、だってそんな俺にぴったりの場所だと思えて」


「ぴったり…?」




先輩は微笑む。




「たとえば、ここの大学に通えば、違う国や文化の人達と交流して自分のアンテナを広げられるっていうか…」



「・・・・」


「そもそも俺、英語はずっと苦手だったんだ。でも“言葉は力”になるんだって…。この大学がWORLD GATE…世界中のどこでもつながる入口になるって、この大学のサイトに載ってて」



「・・・・」



「それならここにきて、世界中を見て探せば、さすがにこんな俺でも自分のやりたいこと、死ぬまでにはきっと見つかるんじゃないかな?……って、大げさに聞こえるかもだけどね」





先輩の笑顔は夕陽を浴びてキラキラしてる。






先輩の言葉に、

ポジティブな姿勢に自分が恥ずかしくなる。







私と同じようなことを言っていたのに……

全然ちがうんだもん……







「ここに通えば……私もそんな前向きになれますか?」


「え?」


「私も進路が見つからなくて……すごい劣等感で……でもここに通えば先輩みたいに前向きに進む勇気……持てるんですか?」







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