ダンデライオンの揺れる頃
サブローが言うには、彼は、気の弱い男だったそうだ。

いつも女にフラれて、自室にこもり、ペニスをこすっていた。

射精の瞬間、意中の女を口汚く罵るのが、癖だったそうだ。

これから彼は、この巨大な性器で嫌がる女を犯し、自分の欲求を満たすのであろう。

少女は、黒々としたその太い毛むくじゃらの巨根を目のあたりにして、吐き気を覚えた。

もうおさまった筈の悪阻が、ぶりかえしたようだった。


「殺して」


少女は、悪心をこらえ、懇願するように老人に言った。

今ならば、まだ間に合う。

彼も、人間として、尊厳のある死を迎えることができるかもしれない。

そう。今、死ねば。
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