ダンデライオンの揺れる頃
2
ある日、少女は、自分の体の変調に気づいた。
指先が、うす緑色になってきたのである。
そして、ふつうの食物が欲しくなくなってきた。
さすがに、自分の身にふりかかると、ショックが大きかったので、これはどうしたことかと、針師にたずねた。
「いまさら、あわてることもなかろう」
針師は、超然としてそう言っただけだった。
たしかに、そう言われてみれば、珍しいことなどでは、決してなかった。
変調は、むしろ、若い者から順に現れる。
少女などは、遅い方かもしれなかった。
針師の老人にしてみれば、そんな例を、うんざりするほど見てきたし、また、少女にしても同じだった。
ただ、少女が心配なのは、自分が変わってしまっても、子供が産めるだろうか、ということだった。
恋人のわすれがたみである、愛しいこの子だけは、立派に産んであげたかった。
指先が、うす緑色になってきたのである。
そして、ふつうの食物が欲しくなくなってきた。
さすがに、自分の身にふりかかると、ショックが大きかったので、これはどうしたことかと、針師にたずねた。
「いまさら、あわてることもなかろう」
針師は、超然としてそう言っただけだった。
たしかに、そう言われてみれば、珍しいことなどでは、決してなかった。
変調は、むしろ、若い者から順に現れる。
少女などは、遅い方かもしれなかった。
針師の老人にしてみれば、そんな例を、うんざりするほど見てきたし、また、少女にしても同じだった。
ただ、少女が心配なのは、自分が変わってしまっても、子供が産めるだろうか、ということだった。
恋人のわすれがたみである、愛しいこの子だけは、立派に産んであげたかった。