ダンデライオンの揺れる頃
ちょうど、一年前になる。

恋人は、やっと念願の訓練生になれたのだと言って、おおはしゃぎだった。

そして、いつものように、宇宙船がよく見えるこの草原へ少女を誘った。

ここは、二人の特別の場所なのだ。

何の変哲もない草原だが、二人にとっては最高の場所だった。

ここに寝そべって空を見上げると、宇宙船が見えた。

銀の翼が陽に光って、それはそれは美しかった。

二人ならんで空を仰ぐうち、どちらからともなく、お互いを求めあった。

少女には、はじめての体験だった。

でもそれは、話しで聞くよりも、ずっとあっけないことだった。

ただ、最愛の恋人と一つになれたことが嬉しかった。

恋人は、宇宙飛行士だった。

そしてその翌日、訓練生として、初めての航海に出かけたのだった。
< 3 / 61 >

この作品をシェア

pagetop