ダンデライオンの揺れる頃
少女は、やっとのことでたどり着いたあの草原に、四肢を投げ出して寝そべっていた。

空には、満天の星が輝いている。

怖いくらいに澄んだ星空だった。

ここに都市が築かれていた頃には、とうてい見ることの出来なかった数の星だった。

天の川と呼ばれる天空の巨大な帯は、本当の川のように、きらきらと光る無数の点が、ぎっしりとひしめいており、天にかかった銀の橋のようだった。

星座など、よくわからなくなってしまうほどに、たくさんの光がそこにあった。

少女は、不思議な安堵感に全身を包まれていた。

やっと、本来の場所に戻った、そんな気がする。
ここにたどりつけなければ、意味がないのだ。

そんなふうにさえ、思えた。
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