ダンデライオンの揺れる頃
少女は、この一年というもの、毎日、この草原に来ていた。

そして、恋人の宇宙船を待ちつづけていた。

だが、それは、待っても待ってもかなうことのない、はかない望みであった。



サイレンが聞こえた。

宙港の、サイレンだ。

何事か起こったのかと、少女は半身を起こしかけた。



と。

少女の下半身にのしかかるように、巨大な影がぬうっと迫った。

空が、真っ黒になったような気がした。

天井が落ちてくるような、せっぱつまった圧迫間を感じて、身をすくめた。



そのとき。
< 5 / 61 >

この作品をシェア

pagetop