ダンデライオンの揺れる頃
「さんざん、訳のわかんないこと言ったくせに、ごあいさつね」

『だって、もう、手遅れだ』

少女は、微笑んだ。

「そうね。もう、手遅れ。あたしは、ここから一歩だってうごけやしないわ」

『そうだね』

「あなたは何者なの? あたしのお腹の中の生き物なの?」

『さあ』

「もうじき、お腹を食い破って、出てくるのね」

『ちょっと、待って』

「え?」

『思い出しそう』

「何を?」

『ぼくのこと』

「何を言ってんのか、わかんないわ」
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