おやすみ、お嬢様
「友人って、久々に会う方なの?」

「そうですね、高校卒業以来会ってませんから」

え?いつの話、それ。

「実はあんまり仲良くなかった人とか?」

「いえ、生徒会で一緒でしたし、それなりに」

「それって、むしろ、かなり仲よかったんじゃないの? あなたって何だか、時々本当に薄情よね」

それにこの人、日本出たあと私だけでなく誰にも連絡とってなかったのかもしれない。今は蒸し返したくないから聞かないけれど。

榛瑠は笑った。

「それについては反論しませんが、彼だってどっちにしろ時間があったって会いになんか来ませんよ」

榛瑠の友人関係って本当にわからない。私も友達少ないし、あんまり人のこと言えないけど。

むしろ、会わなくても友人でいられるって素敵なのかも。私にそんな人いるかしら?

ふと、いろんなことが頭をよぎって一瞬暗い気持ちになる。

と、榛瑠が私の方に右腕を伸ばした。手には大きな苺が一粒ささったフォークを持っている。

「はい」

そう言う彼の目は笑っていた。ええ⁈ お店だよ、恥ずかしいんですけど。

躊躇する私を見て、彼は自分で苺を半分かじると残りをまた私に向けた。って、条件悪化してませんか⁈

「早く食べないと余計恥ずかしいよ」

そう言われてしょうがないので、その半分かじられた苺を口にした。

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