涙空
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「っ、ふぇ、ぇっ。」

小さな男の子が、医務室の前で泣いている

朝ごはんの時間になっても起きられなかった彼

此処に来て、半月が経つが、学校には通えていない

「りゅぅ、せんせっ?だっこぉ。」

小さな手がだっこしてと必死に伸ばされ

「春、おはよう。おっきしましたね?」

「っ、ふぇ、ぇっ。」

ひとりぼっちの部屋が不安だったのか

「ふぇ、けほっ。けほっ。」

弱い気管支

少しの刺激で、発作を起こす

「ゆっくり、ゆっくりですね。モクモクしますか?」

「りゅぅ、けほっ。おこゆ?」

「ん?」

ポロポロ涙を溢しながら、話をしようとする彼

優しく抱きしめて、落ち着かせ

「あのね、っくん。がんばゆ、ごぁん。ごぁん、なぃ。」

「そうですか、分かりました。」

チックンが苦手なこと

分かっていた

ご飯が食べられないのは、調子が悪いからだろう

だから責めることはしない

だけど、言葉に出来た

「教えてくれてありがとね?」

誉めることは敢えてしなかった
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